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賃料を上げたい…その注意点

普通賃貸借契約で更新を迎えた時など、「更新時には賃料を上げたい」とお考えの大家さんもいらっしゃるのではないでしょうか。
しかし、大家さんから一方的に賃料の値上げを打診しても、賃借人の同意が得られなければ賃料を値上げすることはできません。
そこで今回は賃料変更の注意点を記載したいと思います。

【第3回目】賃料変更の相談を受けるきっかけ例

賃貸人(大家さん)…賃料を上げたい

その❶管理費・修繕積立金が上がった
その❷ローンの金利が上がった
その❸他のマンションと比較し賃料が安い
その❹税金やランニングコスト、物価が上がった
その❺周辺全体の賃料相場が上がった
その❻個人的な事情

賃借人(入居者)…賃料を下げたい

その❶給与が下がった
その❷家族が増えて家計の支出が増えた
その❸他のマンションと比較し賃料が高い
その❹税金やランニングコスト、物価が上がった
その❺長く住んで室内が古くなってきた
その❻個人的な事情

賃料の値上げを打診する時の注意点

賃貸人から賃料の値上げを要求することは可能ですが、値上げする場合は一般的には周辺相場を参考に決めます。そして、賃料の値上げにつきましては注意点がございます。まず、契約内容の変更は双方の合意が必要なので、賃借人(以下入居者)は値上げを拒否することもできます。そして入居者が値上げを拒否した状態で契約期間が過ぎますと法定更新となります。
この時の賃貸人(以下大家さん)の対抗手段としましては、賃料の受け取りを拒否することができますが、受取りを拒否した結果、入居者が賃料を支払わない場合は入居者側の賃料滞納となり、賃貸借契約の不履行となります。
しかし、この時の入居者に対する措置としまして、賃料の供託という制度がございます。この供託とは裁判所に経緯を説明し、賃料を法務局に納めることで滞納状態を回避する制度です。供託の状態がいつまでも続く場合は一般的には調停となり、調停でも解決しなければ結果的に裁判となります。
なお、更新時だけではなく、契約期間中でも賃料値上げ請求は可能です。「〇年〇月分賃料から値上げを行う」と双方で合意すれば賃料は上げられます。合意が得られない場合は全て上記と同じ流れで、調停から裁判という流れになります。裁判所では主に経済事情の変動や周辺賃料などを参考に判断すると言われています。
また、普通借家契約では入居者に対し「賃料の値上げが嫌なら出て行って欲しい」といった一方的な要望は、正当な事由が無い限り通用しない契約となっておりますのでご注意下さい。

正当事由とは

土地・建物の賃貸借については、賃借人保護のために、賃貸人からの一方的な更新拒絶や賃料の値上げ等に当たって「正当事由」を要するとされています。
何が正当事由となるかは、裁判での判断に委ねられておりここで断定的な内容は記載できませんが、周辺相場が著しく上がったなどは該当する可能性が高いそうです。

今回は賃料の変更に関する注意点を記載させていただきましたが、賃料変更はきっかけによるトラブルが多いことも事実です。安易に変更するのではなく、まずは良く調べて判断することも大切なことではないでしょうか。