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第1回 「相続税」と「贈与税」導入の歴史

「相続税」と「贈与税」と言われると皆様はどのように思われますか?
今回はちょっとした豆知識としてお役に立ちますように「相続税」と「贈与税」について、なぜ導入されるようになったかをご紹介します。

相続税のきっかけは日露戦争の戦費不足から

日本で相続税が導入されたきっかけは、1904年に始まった日露戦争です。膨大な戦費調達のために、1905年から始まりました。
その時の日本は日清戦争終結から何年も経過しておらず、明治政府は戦争が始まる前の準備段階の時から資金難に頭を悩ませていました。そこで当時の大蔵省は酒税や所得税などの増税を進めたり、織物消費税や石油消費税などを新設し、何とかしてお金を集めようとしていたそうです。しかし、それでも戦争資金は足りませんでした。

そこでヨーロッパ各国にならって導入したのが「相続税」だったとされています。日露戦争が終結したことで、相続税を廃止すべきとの声もありましたが、導入から日が浅かったことや、戦争には勝ったもののロシアから賠償金を得ることができず政府の財政が困窮していたなどの理由から、相続税は存続されることになりました。尚、当時の相続税は現在のような「富の再分配」を目的としていたものではなく、相続による偶然の所得に対する課税であったと考えられています。

余談ですが、当時は相続税について肯定的に書かれている一方、導入時には「近親者が亡くなり悲しんでいる時に税金を課すなんて人情が許さない、冷酷だ」「我が国には金持ちが少ないから、相続税での税収は思ったほどあがらないのでは」という否定的な意見もあったようです。

贈与税のきっかけは第二次世界大戦後の民主化へ移行に伴う見直しから

贈与税は第二次世界大戦後、民主化への移行の流れに伴い見直しとなりました。1947年、それまで定められていた家制度(1898年に施行された家族制度で、家を単位として戸籍を作り、主たる戸主がその家族を統率する仕組み)が廃止され、同年の改正で家督相続(被相続人である戸主が亡くなった場合は長男が全ての遺産を継承・相続するのが原則)の区分も廃止となりました。それらの廃止と同時に、生前に贈与があった場合はその価格に対して課税を行う「贈与税」が新たに導入されました。

そして1950年になると再び法改正され、財産取得者が取得した全ての財産を累積させ、それに対して課税を行う「累積的取得税方式」に移行した相続税に統合されたため、贈与税は一度なくなりました。しかしこの制度は長くは続かず、1953年の改正により、遺産分割した各々の分に課税を行う「遺産取得税方式」に相続税が変更になり、切り離される形で贈与税が復活してしまいました。その後、1958年の改正により、実際の遺産分割の割合に応じて相続税額を割り振る「法定相続分課税方式」に移行され、現在に至っています。

この贈与税がなければ、生きている間に財産を贈与してしまえばいくらでも相続税を少なくすることができてしまいますので、相続税の補完税とも言われています。